「リスクを負う方が健全」

(日経「春秋」2013/12/5付) 「機械工業振興臨時措置法」が制定されたのは1956年のことだ。はじめは国が企業に設備を貸すという構想だったが、設備投資の資金を融資する形に落ち着いた。企業は投資に失敗する危険がある。設備を借りる仕組みの方が安全ではないか。そんな国会審議での質問に、ときの通商産業相の石橋湛山は「事業者に一応のリスクを負ってもらうという方式でいく方が、かえって健全じゃないか」と。(「幻の産業政策 機振法」御厨貴氏)。安倍政権の産業競争力強化法は、企業をどのくらい「強化」できるだろう。赤字事業を他社と統合する際の税制優遇は企業の再編を促せるかもしれないが、国を頼る気持ちを助長しはしないか。「リスクを負う方が健全」との考え方が、日本経済の成長を支えたわけだ。さらりと言ってのけたという、60年近くも前の湛山の言葉は、いまも古びていない。
(JN) 世には様々な産業あり、それらはその時々によりその力を強めたり弱めたりする。弱まった時が改革の時であり、この時位あるリスクの上で構造改革して新たな力を作り出す。その時に、国の支援があるとありがたく、その時の補助を受けるその構造の造り方がその後の体質になってしまうのであろう。「リスクを負う方が健全」ということであろうか、それなりの責任において行わねば、ある農業のように補助無くして成り立たぬような構造になってしまうのである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63626320V01C13A2MM8000/