中身が盛りだくさんになり姿勢がかすんでしまっては

(日経「春秋」2013/6/1付) 「方針」という言葉をいくつかの国語辞典で引いてみたら、「およその方向」としている例があった。「針」のイメージをもっと出したらどうだろうか。1980年代に提携先の横河電機との交流を通じて、この日本語を社内に取り入れたのが米国のヒューレット・パッカードだ。各事業部が立てる品質面などの目標を「HOSHIN(ホーシン)」と名づけ、達成度をチェックした。元祖の日本はどうだろう。政府は民主党政権が廃止した経済財政改革の基本方針、「骨太の方針」を4年ぶりにつくる。気になるのは自民党に、中小企業支援策や教育政策なども含めた幅広い内容にすべきだとの声があることだ。中小企業は産業の足腰だし教育も国の礎だけれど、中身が盛りだくさんになり、財政規律をはたらかせる政府の姿勢がかすんでしまっては元も子もない。この言葉は「針」のニュアンスをうまく表す英語の訳もなかなかなく、貴重だ。言語感覚を研ぎ澄ませたい。
(JN) 方針は磁石の針でもあるようだ。そうであれば、皆同じ方向を目指すことになる。国であれば目指すものは国民の幸せであろう。その方針に対して、目指す場所への行き方は様々であろうが、方向性が見えなくなるのでは困る。また磁石をいっぱい置くと、お互いに影響し合い方向を指せなくなったりしないであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55716290R00C13A6MM8000/