かくもネズミ捕りが嫌われるのは

(日経「春秋」2013/6/5付) 「ネズミ捕り」という俗語はいつごろから世に広まったのだろう。たしかに違反は違反だが、なにもあんなところで……。タクシー無線が「○○付近、ただいま工事中」と連呼していたら、たぶんネズミ捕りのお知らせである。かくもネズミ捕りが嫌われるのは「取り締まりのための取り締まり」の気配を誰もが感じるからでもあろう。国家公安委員長といえば警察の元締みたいな存在だが、その職にある古屋圭司大臣がそういう摘発手法に疑問を呈した。「歩行者が出てくる危険性もない道で制限速度50キロ。流れに逆らわなければ70キロぐらい出る」。だから20キロ超過を取り締まるのは「ちょっとどうか」。そういえば、ネズミ捕りだ工事中だと世間は妙な言葉でそれを忌避するが、警察は警察でゲッカンがとても大事らしい。○○取り締まり強化月間――署をあげて摘発を競う。
(JN) 違反者を摘発する件数目標は?目標は数値でないと表せないが、これは何の目的で行っているのか?われわれも達成数値に気を取られ、本来の目的を見失ってしまう。強化月間では尚更件数が大事だ。手当も違ってくるのか。精神論は言いたくないが、使命を忘れては困る。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55856210V00C13A6MM8000/