内戦を一刻も早く終わらせるという正義

(日経「春秋」2013/8/30付) 54、55……。おでこやおなかに無造作に貼られたガムテープに数字、10歳にもならないだろう子どもの死体、それが何十も丸太ん棒のように並んでいる。21日にシリアで使われたという化学兵器神経ガス)の犠牲者の映像がある。子どもの死に顔はその空爆大義を与える大切な要素でもある。シリアの内戦では2年半に10万人が死に、200万人が難民になって国外に逃れた。アサド政権を非難する米英仏と後ろ盾になるロシアの対立ばかり際立つ。そんな中で迫る大国の軍事介入である。空爆があれば、そのためにあらたな犠牲も出るだろう。それでも大義があるとすれば、内戦を一刻も早く終わらせるという正義と結びついてこそである。子どもの命を弄ぶ蛮行をすぐやめさせてこそである。「アラブの春」などと知ったふうに使ってきたが、その何と多難なことか。
(JN) 米国は理由を作り出して相手を破壊する。新兵器等を使う機会を作り出したりする。そして、アジアでは一般市民を巻き添えにしていき、今でも後遺症が残っている。例えば、日本との戦争における都市空襲や原爆投下、ベトナム戦争における北爆や枯葉作戦。これらの破壊行為を実行したのは、国の正義を背負わされた一般市民であり、米国の市民も多くの命を落とした。ルールや都合を勝てばその時代では正義なのであろうか。この地域紛争の根本原因を取り除かない限り、永遠に繰り返される。殺戮を止めてほしい、これをとりあえず止めるのは、大国の都合による破壊でしかないのか、一般市民の苦しみはまだまだ続く。本当の春はいつになるのか、待っていても来ないのであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59097270Q3A830C1MM8000/