『シリアの人たちは助けを必要としています。戦争が遠くにあるものだと思ってほしくない』<2018年4月25日(水)>
現代版・戦場のピアニストと呼ばれるエイハム・アハマドさんを『余録』(180423)は紹介する。戦場のピアニストというと、映画「戦場のピアニスト」の主人公はユダヤ人だが、アハマドさんはパレスチナ難民3世だ。「内戦でがれきと化したダマスカス郊外の町ヤルムークの路上で、『少しでも希望と喜びを』とピアノを奏で、人々を喜ばせた」。その後、戦火を逃れた。「シリア内戦はこの春で8年目に入った。大国の思惑が入り乱れ、戦いはやまない。死者は35万人以上、国外へ逃れた難民は560万人に達した。このほど来日したエイハムさんは東京と広島で演奏し、日本人聴衆に語った。『シリアの人たちは助けを必要としています。戦争が遠くにあるものだと思ってほしくない』。今この時にも市民の犠牲が出ていることを忘れてはならない」。
(JN) 何も考えずに音楽に浸る。何も考えないということはあり得ないが、何もせずに音楽を身体全体で受ける。この時間は貴いのである。平々凡々と暮らす自分でさえ、この時間が有り難い。この平々凡々の時を戦禍の人々がどれだけ望んでいるか。シリアの内戦は、この地球上の平々凡々の犠牲でもある。過去から現在までの様々な欲望の複雑な絡み合いが犠牲者を生んでいる。せめてもの音楽も奪ってしまう戦争である。自分たちの幸せのために、他者を犠牲にしているのが現実である。大国の傘の下での幸せを守ろうとしている日本の私たちも、このシリアの戦火を大きくしていることを自覚せねばならない。幸せの偏りは国内でも犠牲者を作り、海外にも犠牲者を生んでいるのである。これを何とかできないか。まずは一人一人の自覚からであろうか。平和はいつ訪れようか。