戦った相手は「韓国」、終戦の年は1038年

(日経「春秋」2013/8/18付) 「ももいろクローバーZ」の5人のメンバーは今の日本を生きる17歳から20歳の少女でもある。現役高校生を含む彼女らは、先の戦争をどう理解しているか。若手社会学者が試験をした。戦った相手は「韓国」、終戦の年は1038年と珍回答が相次いだ。しかし試験後の座談会(古市憲寿「誰も戦争を教えてくれなかった」所収)を読むと、学校に問題が多いと分かる。縄文弥生は詳しく、中世から急ぎ始め、現代史はプリントを配り終了。そんな授業を小中高と3回繰り返す。彼女らも古代史には詳しい。「歴史(の授業)で習うと日本のことじゃないような気がして」。いま私たちが生きるこの社会と、歴史上の出来事は、どう関係しているのか。先生はきちんと教えているだろうか。座談会でメンバーの1人が、「子供のころ戦争があった」という祖父の言葉を思い出し、今との距離をつかむ。そうした体験を語る人も、時と共に減る。今の日本の原点となる記憶をどう伝えるか。工夫を怠れば、全く無関心か、アクション映画やゲームを見て勇ましさだけで戦争をとらえるか、そんな向きが増えていく。
(JN) 自分の体験でも、現代史は教えたくなかったのではないか、と思うほど日本史の授業はそこまで行かなかった。昭和の歴史には皆がそれぞれに思いがあり、伝えるのが難しいのか。日本がアジアにおいてどんなことをしてきたのか、米国からどんなことをされたのか、歴史は伝えなければならない。それは、日本史としてではなく、世界における地域のそれぞれの歴史を高等学校までに、事実としての理解をできるようにしなければならない。そうしなければ、漫画大臣の言うことを鵜呑みにしてしまうではないか。或いは、江戸以前のことは後で良い、まずは幕末から現代までの今に続く歴史を確認することから歴史を学びはじめれば良いのではないか。そして、戦争による一般市民の犠牲がどれだけあったのか、それを学んでいく必要がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58633650Y3A810C1MM8000/