「大阪に住みつき男日傘かな」

(日経「春秋」2013/8/11付) むかし上方では、男の日傘がはやったという。講談社版「日本大歳時記」の夏の部に「江戸後期には京阪地方で男の日傘が流行したことがあったが、後に禁制になった」などとある。「大阪に住みつき男日傘かな」小原野花。関西には男性が日傘をさす習慣が残っていたとみえる。さて時は移り平成のいま、近畿方面にかぎらず男の日傘が見直されているようだ。ならばためしに、と手持ちの折り畳み傘を広げて猛暑の街を歩いてみたら、これが思った以上によい。そう考える人が増えれば、男の日傘ももっと普及するだろう。18世紀の英国では雨傘だってもっぱら女性の愛用品だったという。ところがジョナス・ハンウェイという男がひとり使いはじめて、やがて男女の別がなくなっていったそうだ。世の常識なるもの、案外たいしたことはない。そんなことも思わせる傘事情である。
(JN) 女のすることを男ができるか、なんて男は変に見栄を張ったりするが、どうも日傘は効果的らしい。なら、使ってみるかと問われれば、まだ今は一般化していないからと回答か。でも、ひょっとすると、今シーズンの後半には、進歩的男性に定着し、来シーズンは一般化するかもしれない。そのうち、日傘の相合傘も続出か? 否、なおさら日本の夏が暑くなるか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58383070R10C13A8MM8000/