「手口に学べ」

(日経「春秋」2013/8/8付) 何を言いたかったのか、いまでもやっぱりわからない。麻生太郎副総理兼財務相が先月末に講演で口にして騒ぎになった「ナチス」うんぬんである。海外でも批判が高まるやご本人はあわてて釈明して発言を撤回し、まわりも幕引きを急いだ。釈明を理解できぬでもないが、どうもチグハグだ。だいたい「手口に学べ」とはこれいかに。なぞの言語感覚というほかない。そのへんをもっと丁寧に説明してもらいたかったのだが、院の構成を決めるための国会は淡々とそれだけを終え、きのう閉会した。野党の審議要求にも全然迫力なく、自民党としては逃げ切りセーフで大いに安堵したに違いない。秋の臨時国会は10月中旬からという。人の噂も七十五日、もうそのころはほとんど忘却のかなただろうか。言葉軽き人の繰り出す、学びたくない手口である。
(JN) 人のことは言えない身であるが、教養が足りないというか、思慮不足というか、黙って睨みだけ利かしていれば良いのに、喋ってしまう。ワイマールとナチスとの関係については、理解に大きな誤りがあるので、この際、よく勉強してほしいものだ。こんなことより、大きな事件があったのか、忘れ去りそうである。それでよいのであろうか。このことを正確に捉えていないと、自民党与党は皆、こういう理解であると全世界から思われてしまいそうである。「手口」はそんな簡単なものではない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58255950Y3A800C1MM8000/