「バルス」とは?

(日経「春秋」2013/8/9付) 先週金曜日、午後11時21分50秒。日本全国から少なくとも、のべ14万人が参加しバルス祭りがピークを迎えた。この時間、あるテレビ局が映画「天空の城ラピュタ」を放映した。終幕で主人公たちが唱える滅びの呪文(じゅもん)「バルス」。その瞬間に合わせ同じ呪文を打ち込むのだ。ツイッターには1秒間に14万以上も書き込まれ、今年元旦の「あけおめ」を抜き世界新記録を樹立したそうだ。「ツイッターなどのデジタルコミュニケーション」、ふだんはおのおの細切れの時間に参加し、たまのお祭りでは大勢の人と一体感も味わえる。携帯電話やパソコンに没頭するネット依存の中高校生は全国で50万人を超すと、厚生労働省は推計する。どんな遊びも過ぎれば生活を壊す。しかし遊びを一切排した人生や社会も想像しにくい。暑さも盛り。大人も子供も遊びとのつきあい方をうまく学んでいきたい。
(JN) デジタルコミュニケーションは使っている者には便利で素早いツールの一つである。あくまで小道具の一つであるのに、これが主役となり、我々の生活を脅かすことさえある。また、ネットワークが途切れた瞬間、パニックになる。そうならないように、情報リテラシー初等教育段階から体験的に指導して行くことが必要だ。良い情報と危機管理情報を全世界と互いに交換しあうべきであろう。しかし、この誰にでも見ることの出来るネットワークの中で、それが狭い世界での愚か者たちはいじめや悪さ自慢に使っている。情報リテラシーは、その操作の指導ではなく、使うことに対する考え方を学ぶ必要があるのではないか。「バルス」、平和を意味していると言うが、本当にそうなのか。この意味の分からぬことばを14万人もの人たちが発信したとは、恐ろしい。大衆を扇動できるツールであることを理解したい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58297970Z00C13A8MM8000/