「禁止することを禁止する」

(日経「春秋」2013/6/18付) 「禁止することを禁止する」。5月革命とも呼ばれた1968年のパリの学生運動で有名になったスローガンである。機知に富み、語呂がよく、なにより権威へのNONを端的に表している。トルコ各地でエルドアン首相への反発が収まらず、首相はついにイスタンブールの公園に座り込んでいた数千人のデモ隊を警官隊を使って追い出した。「禁止!」という力ずくがこの局面で果たしてよかったのかどうか。アジアでもヨーロッパでもあるトルコに人は集まり、イスラム以外の宗教に寛容なことの恩恵にも浴してきた。5月革命の警句はやがて、「禁止することを禁止することを禁止する」、さらにはそれをまた禁止する……、ともじられていく。そんな止めどない対立の連鎖を断つには、力よりまずNONの声を聴く耳である。
(JN) 「おいでイスタンブール」「小アジア」。トルコは歴史の中心地帯、戦争・侵略により、様々な人種、宗教、文化、産業などが犇めいていた。様々なもの者の集まるこの国で「禁止」は「禁止」であろう。「禁止」を大衆にするのではなく、まずはある個人の私欲を「禁止」すうることがなされれば、この混乱は収束して行くのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56327300Y3A610C1MM8000/