招致チームに厭戦ムードを生まないよう、これも祈る

(日経「春秋」2013/5/1付) 緊迫した接戦、あまりに手痛い主将のオウンゴールではないか。ライバルのトルコ・イスタンブールをおとしめるようなことを言った。勝負の帰趨(きすう)を一撃で決めかねない大失態である。招致合戦でライバル都市を批判することは禁じられている。そんなルールを持ち出すまでもなく、そこには品位も異文化への敬意も感じられない。さすがに知事は発言を撤回し、謝罪したが、「インタビューの98%は東京のPRだったが、最後の雑談がクローズアップされてしまった」と釈明したそうだ。これでは釈明にならぬ。記者なら誰だって、話が一通り終わった後の雑談の一言一言に狙いをつけている。ノンフィクション作家として名をなした知事である。自身もそうして貴重なコメントを引き出したことがいくらもあろう。オウンゴールが招致チームに「やってられないよ」といった厭戦(えんせん)ムードを生まないよう、これも祈るしかない。
(JN) 小さな石原慎太郎を都民はなぜ選んでしまったのか。都民を代表してとは言えないが、皆様にお詫びしたい。都民も前に比べれば、オリンピック招致に前向きになっていたのに、なぜ、こんなことを言ってしまったのか。何だか、もう招致戦に敗れた時の言い訳になるのでは切ない。オリンピック精神に則り全力に闘うことを願う。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54562040R00C13A5MM8000/