お上は出しゃばらぬほうがいい

(日経「春秋」2013/5/9付) なんだか危ない人だね……などと若い人たちが使う。ちょっとヘン、うさんくさい、怪しいといった意味だ。アブないと書けばその雰囲気がよく表れよう。政府が打ち出すあまたの政策のなかにも、なんだかアブないものが混じっている。少子化対策を考える内閣府のチームが、国で「女性手帳」なるものをつくって配布する方針を決めたそうだ。人口減の克服にはさまざまな啓発が必要だとしても、この作戦はどうだろう。少子化は社会の仕組みや政治の怠慢に根ざすところが大きいのに、ピント外れだ。そもそも妊娠や出産は一人ひとりの価値観や生き方にかかわる問題だから、お上は出しゃばらぬほうがいい。そういえば戦争中の「産めよ増やせよ」の時代には「体力手帳」とか「保健教本」とか、国家が国民を諭す印刷物がばらまかれたという。やはりこういうものはアブない、いやはっきり、危ないと言っておこう。
(JN) アブない、私たちの人間としての自由を束縛するのか。なぜ、こういうことを進めようとするのか。日本という国には戦後60年を過ぎたが、民主主義が根付かず、隙あらば国家主義が出てくる。また態々、近隣職と摩擦が起きるようなことをする。危ないことは勘弁してほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54799110Z00C13A5MM8000/