カエルのうち半数以上が「絶滅危惧種」に指定

(日経「春秋」2013/5/6付) おびただしい数のカエルが水面に鼻先だけ出して浮かんでいる。手足と体は水槽の中でだらんと垂れ下がっている。広島大の両生類研究施設が飼う3万匹のカエルである。「これは至福の満足感にひたっている姿なのです」と、特任教授の柏木昭彦さん。iPS細胞の研究は、実験動物のカエルのおかげで進歩した。ストレスなく健康に育つから最高の状態の生体素材になるそうだ。飼育の達人の小林里美さんは、そっと手のひらに乗せて触れると、体調が分かるという。そんな環境に敏感な生き物が、いま一斉に地球の異変を告げているそうだ。世界に7千種いるカエルのうち半数以上が「絶滅危惧種」に指定されている。のんびりしてばかりもいられない。
(JN) 子供のころカエルは身近な生きものであった。在来種から外来種まで、池や川に存在していた。私たちは残酷にも、自分たちで田んぼへ行き、沢山捕まえて釣りの餌や解剖や電気実験の対象となった。でも、そのような行為で生命の在り方も学んだ。そのカエルがどんどんいなくなっていると。そのうち、カエルは動物園や研究所でしか見られなくなるのか。ちびっこギャングの遊び相手は既に消え始めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54704680W3A500C1MM8000/