研究所は人間の気持ちを研究するところ

(日経「春秋」2013/5/5付) ホンダの創業期の商品のひとつ「カブ号」、赤いエンジンに白い燃料タンクを組み合わせたその明るくめでたい色が戦後の復興を急ぐ人々を鼓舞したのかもしれない。本田宗一郎氏が自ら思いついたアイデアだった。芸術作品と違って商品のデザインは、現在の人だけに訴えればいい。大衆の心は人一倍理解しているつもりだから、できないことはない――。最近の特色ある造形の家電製品も、人々が求めるものをすくい出しているのだろう。ベンチャーや海外企業の製品に斬新なデザインが目立つ。日本の電機大手も人々をうならせるデザインの製品を、そろそろ世に送り出さなくてはなるまい。本田氏はこう言った。「研究所は人間の気持ちを研究するところであって、技術を研究するところではない」。
(JN) 私たちは保守的であるとともに、新しいものにも惹かれる。そういったものを作り出せるのは、若い企業であろうか。成長しきった大手企業にはその感覚(人間の気持ちがわかる感覚)や度胸がなくなるのではないか。また、そうでないと新しい企業が出てくることができないのではないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54688480V00C13A5MM8000/