じっくり型の観光文化が、日本でも根づいていいのでは

(日経「春秋」2013/5/4付) イタリアで最も美しい避暑地といえば、南部のアマルフィ海岸らしい。この国に詳しいノンフィクション作家の島村菜津さんが近著「スローシティ」でそう書いている。観光客の多くは町から海を眺める。「しかし振り向いて山を見てほしい」と地元の人は語るそうだ。駆け足の旅は日本人特有かと思いきや、アジアから来訪する団体客も東京・京都・大阪を数日でハシゴし、欧米のブランド品を買い込んでいく。アマルフィ海岸のポジターノ、遠くからも人を引きつけるのは自然、風景、新鮮な魚や野菜、そして郷土の暮らしを愛する人々の思いだ。落ち着いた、じっくり型の観光文化。日本でも根づいていい時期ではないか。
(JN) 観光とはなんであろうか。『日本語大辞典』によると、「日常の生活地を離れ、他の土地の風景や史跡などを見物し、楽しみながら旅行をすること。」とある。「楽しみながら」とあるが、日本人は忙しなく巡ることが多く、どこまで楽しんでいるのか。「日常の生活地を離れ」ていはいるが、日常と同じで何かに追われている。皆と同じに、連休はどこかへ出かけ、土産話やものを捜すのに一生懸命で、楽しいんでいるのであろうか。そうなれば、連休も日常と変わらないようなラッシュから解放されるのではないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54668500U3A500C1MM8000/