廃線跡を街の快適さにつなげる

(日経「春秋」2013/3/24付) 東急東横線渋谷駅が16日から地下に移った。人けのない旧駅では早くも解体工事の準備が……。と思いきや、この週末、音楽公演や鉄道模型展などが開催され、にぎわいを見せている。きのう土曜の午前中に行ってみたら、入場に40分を要した。取り壊し開始までの約1カ月半、さまざまな文化催事が続く。渋谷と並び都内で若者に人気の街、下北沢もきのうから地下に移転。取り壊しを待つ地上の旧ホームを撮影し、名残を惜しむ人が目立つ。都市の貴重な空間をどう活用するか。知恵の絞りどころだ。ニューヨークやパリでは廃止された高架鉄道跡が歩行者専用の空中公園になり、古い駅舎が美術館に変身している。これまで都市は効率や機能を追い求めた。これからはアイデアなど知的創造力がカギを握る。廃線跡を街の快適さにつなげる。そんな発想がますます重要になる。
(JN) 駅跡地は発展的に新しいところに移ったためのものと、経営困難による路線廃線によるものとでは、状況は異なる。渋谷や下北沢は栄えている中での移転であるので、その場所は魅力的である。できれば人口の主となる年配の発想を取り入れたスペースとして使えないものか。定年退職者組の力を発揮する場所があっても良いのではないか。年寄りが多くなるこの日本、その能力を活用しよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53155210U3A320C1MM8000/