「一丸」とは決意を込めてみせるに都合のいい言葉だ

(日経「春秋」2013/3/20付) 一本か、せいぜい技ありで決まっていたはずなのに、有効だの指導だのが積まれるばかりで畳の外からは甚だ分かりづらい。女子選手への暴力に揺れた全日本柔道連盟の幹部全員の留任が決まったのだという。去年の秋に暴力沙汰の情報をつかんでいながら、監督を続けさせ、解決を先延ばしにしたのは誰なのか。強化のために受け取ったはずの助成金が領収書なしの宴会費などに化けたとすれば、誰の知恵なのか――。「一丸」とは決意を込めてみせるに都合のいい言葉だ。女子選手への暴力について検証した第三者委員会の提言は、柔道の外にいる人材や女性を生かすことを求めたが、柔道界の動きにはそうした印象が拭えない。
(JN) 「一丸」となって立ち向かうのは、日本人のお得意技か。その「一丸」は構成員の「総意」ではなく、「相違」があるとはじき出される「一丸」である。全員一致か困難であろうが、弱い者いじめとなるような体質では困る。柔道界、今の責任者に勝負の能力がないなら、新たな組織にて技の妙技を披露してもらいたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53026660Q3A320C1MM8000/