北上川よ裏山よ、校舎よ校庭よ、教えてほしい

(日経「春秋」2013/3/8付) 金曜日の午後2時46分。あの激しい揺れが始まったのは、社会のさまざまな場所でさまざまな人が立ち働いている平日の昼下がりだった。運命的な時刻というほかない。その発生時刻ゆえに、東日本大震災は学校を「災害の矢面」に立たせた。児童と教職員84人が津波の犠牲になった石巻市立大川小の惨事は、しかしいまも謎が深い。関係者は口をつぐみ、市の教育委員会も説明を果たせないままだ。そこで先月からは文部科学省主導のチームが検証に乗り出している。異例のことだが、真相は学校が災害に立ち向かう力を得るためにも解き明かされねばならない。まもなく2年になる。現場は当時のままだ。午後2時46分、あの瞬間から悲劇までに何があったのか。北上川よ裏山よ、校舎よ校庭よ、教えてほしい。
(JN) 辛いが真実は必要な人に伝えなければならない。罰したり、非難したりするためではない。同じ悲劇が起きないために、できるだけのことを私たちは知らねばならない。思い出したくもない、否、記憶から消えてしまったかもしれない。辛いことであるが、現実を知り、それを忘れてはならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52558300Y3A300C1MM8000/