国力を高める(3) 産業の新たな担い手を育てたい

(日経「社説」2013/1/5付) 産業の視点から2012年を振り返ると、戦後の日本の成長をけん引した家電産業の失速が誰の目にも明らかになった年だった。自動車などなお強い部門もあるが、それも拠点の国際展開が進み、国内における事業の裾野は徐々に小さくなる方向だ。20世紀型の成長の構図は通用しなくなりつつある。いま求められるのは、新たな成長の担い手だ。その一つが世界に通用する技術やサービスを持った中堅・中小企業群だ。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は有望な技術を持つ日本企業を発掘し、その情報を全世界のGEの技術者に発信して、新たなビジネスに結びつける「ジャパン・テクノロジー・イニシアチブ」という取り組みを始めた。日本でも世界に飛び出す中堅企業が増えれば、新たな成長の核になり得るだろう。もう一つの成長の担い手は、ゼロから業を起こすベンチャー企業だ。長らく日本は「ベンチャー不毛の地」といわれたが、その常識は徐々に変わり始めた。昨年は求人サイトのリブセンスが東証1部に上場し、村上太一社長(26)は1部上場の社長として最年少記録を更新した。起業の流れを太く確かなものにするには、リスクマネーの確保が欠かせない。中小企業金融円滑化法のような不振企業の延命策ではなく、新しい産業を生み出すために資金を振り向ける、という発想の転換が政府にも必要である。安倍晋三首相は昨年末の就任会見で「政権の使命は強い経済を取り戻すこと」と述べた。だが、経済の活性化は政治の力だけで達成できるものではない。実際の経済の担い手である企業や個人が新たな挑戦に踏み出すところから、日本経済の再生が始まる。
(JN) 日本は挑戦をして行かなければならないのであろう。今の若者にその意欲があるのか否か。これは若者だけでなく、高齢者も含めて、新たな担い手になってよいのではないか。そのために教育機関は何ができるのであろうか。教育の内容は方法も新たなものが求められている。それだけではなく、教育機関の構成員も、既存の方法にしがみつかず学生とともに新たな担い手になっていくことであろう。内向きになっている日本人はもっと外に目を向けて行かねばならないのであろう。そのためには様々な常識、保守主義、既得権などとの向き合っての対応も学術的に必要になってくるのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50288470V00C13A1EA1000/