高齢化を嘆くより、家族の力を生かす

(日経「春秋」2013/1/4付) 「お母さん」。俳優の高倉健さんが亡き母親に呼びかける。「あなたに褒められたくて、ただ、それだけで」頑張ってこられたのだと。かつてエッセー集で、そう真情を吐露していた。年末年始の帰省で、ふだんは自身が子を持つ立場で、あるいは管理職や経営者として、弱みを見せず、身過ぎ世過ぎに肩ひじを張る。そんな大人たちも、親の目が自分の支えという人もいるかもしれない。いま親が存命中の人は、大人から赤ん坊まで約8700万人。総人口の7割だという。試算をまとめた博報堂生活総合研究所は、少子高齢化とは見方を変えれば「総子化」だと位置づける。「子供」の平均年齢は終戦直後こそ10代だったが現在33歳。20年後は40歳近い。存在感を増す大人の親子。一緒に旅を楽しんだり、起業したり。転職、子育てと、力を合わせて何かに挑戦したり、人生の困難を乗り切ったりという例が増えているそうだ。高齢化を嘆くより、家族の力を生かす。前向きな発想で生きたい。
(JN) 多くの人は自分の後ろの誰かがいることのありがたみを感じている。そして、幾つになっても親に褒められるのは嬉しいはずだ。ここでは親との関係であるが、これが祖父や祖母の存命になると何割になるのか、その孫の平均年齢は何歳になるのか。この関係も強くなってくるであろう。兄弟の少なくなった日本人は、絆の広がりが横より縦につながっていくのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50250900U3A100C1MM8000/