サンタクロースは本当にいる

(日経「春秋」2012/12/24付) どんなに小さい嘘でも、なにか大事なものを守る善意の嘘でも、嘘をつくときには、人の心はチクリと痛むものだ。これほど平気で堂々とつける楽しい大嘘は、ほかにない。「サンタクロースは本当にいる」。「愛や寛容、献身が存在するのと同様に彼も存在する」「本当の真実とは子供にも大人にも、目で見ることはできない」どこで買い物したのかと疑心暗鬼は膨らむが、幼い妹や弟のために、ひそかに演技を続ける子もいる。プレゼント欲しさで信じているふりをする子もいる。いつの間にか、大人が子供にだまされている。世の中には、子供だけが知っている真実がある。愛しているつもり。優しいつもり。一生懸命のつもり。でも大人は、ちっぽけな自分の欲のために、もっと大事な何かを忘れることがある。子供たちは大人よりずっと幸せに敏感だ。
(JN) サンタクロースは信じた者のところにいる。親は子供の喜ぶことを楽しみにサンタクロースになる。宗教の枠を超えて楽しみたい。我が家では子供たちがもうサンタクロースを信じる年齢でなくなったが、みんなでケーキをいただくこの楽しみは残っている。このような機会を作り出した方々に感謝したい。でも、今、信ずることの少ない我々は救われることがないのか。新政権がいよいよであるが、期待も信ずることも難しい。3年前とは違うことが嘘ではないこと、だまされていないことがプレゼントになるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49945670U2A221C1MM8000/