アーティストが逮捕され、素晴らしい作品までお蔵入りとなる

(日経「春秋」2014/7/5付) 「大人買い」という言葉がある。「悪(あ)しき大人買いだ」と捜査幹部が指摘する話である。かつて若者をむしばんだ薬物汚染が、中高年層へと広がっている。覚醒剤事件で摘発された人のうち40歳以上の割合が増え、昨年は5割を超えた。若いころより自由に使えるお金が増えて、興味本位で薬物に手を出してしまうことが少なくないようだ。ASKA被告も56歳である。事件の影響で、ASKA被告の音楽や映像作品は販売中止や回収の憂き目にあっている。被告のCDを大人買いしたいと思っても、今はかなわない。アーティストが逮捕され、素晴らしい作品までお蔵入りとなる。熱心なファンでなくとも納得しきれない。これもまた、覚醒剤の恐ろしい作用の一つということであろうか。
(JN) なぜ、いい大人が覚醒剤に手を出してしまうのか。麻薬なのであろう、一度手を出したら、深みに嵌って行ってしまう。麻薬の周りには、更なる魔の手があり、逃げられなくなる。これは、魔薬なのである。裏の世界の資金源の一つでもあり、撲滅させていくことが必要だ。これは、国家や自治体の対応も必要であり、それ以上に私たち個々が認識することである。その考え方は、自分に厳しく他人にも厳しい道徳的精神を共有することだ。麻薬は、自分のためにも社会のためにも、役に立たない。興味本位で手を出すなど甘えであり、大人にも子供にも許されない。過ちは過ちを繰り返すこの誘惑、甘い誘惑には、良い結果はない。作品も人生もお蔵入り憂き目を見るのは当然である。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO73820960V00C14A7MM8000/