制約社員を生かす多元的な人事制度を作れ

(日経「春秋」2012/12/25付) 「いま就活をする学生たちが本当に気の毒」。内田樹さんが、映画「七人の侍」を論じた中での発言だ。村を守ると約束した侍は腹心、参謀、剣の達人を集める。残り3人が変わっている。腕はもうひとつだが場を和ませ「苦しい時には重宝」な浪人。元は農民という型破りな男。そして、頼りない若者。出身や経歴にこだわらず、あえて多様な人材を抱える。今で言うダイバーシティー経営だ。見落とされがちなのが若者の役回りだと内田さんは見る。現実はどうか。リーダーはイエスマンや達人ばかり求め、若者は即戦力であれと言われたり、安く使い捨てられたり。内田さんの目に「気の毒」と映るゆえんだ。今野浩一郎氏の近著に制約社員という言葉が登場する。育児、介護、病、障害、年齢などの制約を抱えつつ働く人を指す。増える制約社員を生かす多元的な人事制度を作れれば、日本企業の新たな強みになると今野氏。人事部は貴重な社内資源を生かせるか。
(JN) 一本の大黒柱がしっかりしていれば、後はイエスマンでスムーズに事は進む。でも、この大黒柱は命が永遠ではなく、また間違えも起こす。クローのように皆同じようでは気持ちも悪い。我が国の教育が均一化の教育でもあるから、尚更、多様な人材集めを心がけることが必要である。均一な人材集団はイケイケどんどん高度成長期には量的拡大を只管追い求め、日本は成長した。しかし、押されて乱れると、どうにもならない集団である。不況を乗り切るためにも、多様な能力を活かす工夫をして行こう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49964450V21C12A2MM8000/