(日経「春秋」2012/12/15付) 10日間ほど、毎日のようにノーベル賞受賞者、山中伸弥・京都大学教授のニュース。「予想外の結果にこそチャンスがある」とは科学の実験に限らないと。心境を問われて迷わず色紙に書いたという「初心」の一言である。「研究者を目指した最初の日に戻ってまたやりたい」。だからこそ授賞式が終われば「ノーベル賞は私にとっては過去形だ」と。未来を見つめる清冽(せいれつ)なまなざしがある。「これまでの何百本のホームランも次の1本を保証してはくれない」。だれの言葉だったか、そんな一節もふと思い起こした。年明けまであと半月でもあるが、ノーベル賞をマラソンの給水にたとえた山中さんは、少しでも脚を休めたのかどうか、とうに走り出している。
(JN) 能力ある者の真面目さ、凡人には真似ができない。日々坦々と永遠にこの時が続くと考えてしまう。今のこの生活がいつ終わるとも考えず、他力本願、文句のみ言う。せめてもの罪滅ぼしに、投票にだけは行かねば。そして、選ぶ人を自分の頭で考えよう。大きい声、勇ましい或いは甘い演説に誘惑されず、未来を見つめよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49599410V11C12A2MM8000/