駅員への乗客の暴力行為、昨年度は911件と過去最悪

(日経「春秋」2012/9/24付)眠っている乗客の表情を手帳に描き始めた。それから約20年。元会社員の保倉勝美さんは、退職後もスケッチを続けながら地元の埼玉県で作品展を開き、カルチャー教室で絵を手ほどきする毎日を送る。その電車内や駅構内に、今度は殺伐とした景色が広がりつつある。駅員への乗客の暴力行為がやまず、昨年度は911件と過去最悪を記録しているのだ。加害者の多くは、酒に酔った中高年の男性だ。「反抗される可能性が低い駅員に、家庭や職場でのストレスの矛先を向けている」との分析を聞けばやるせない。保倉さんがモデルにしてきたのは幸せそうな表情の乗客ばかり。険しい顔やイライラした顔は描こうとしても手が動かないという。絵心はないが、納得のいく話である。
(JN)特にJRは、国鉄時代と違い、今の駅員さんや車掌さんは親切だし、駅の環境も良くなったのに、暴力をふるう乗客が増えているのは、このストレス社会の所為であろうか。弱いものがさらに弱い者に当たるのは、世の中の常であろう。日本人は強い者に対抗することを忘れて、幸せのために弱い者を犠牲にしている。我が身にもあるかな、悲しい行動だ。せめて、絵では幸せな顔を見たい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46469140U2A920C1MM8000/