「加藤先生、大将なんだから。行っちゃ駄目だ」

(日経「春秋」2012/9/11付) 糟糠(そうこう)の妻は堂より下さず。自民党総裁谷垣禎一さんが党総裁選への出馬を断念した会見を見て、失礼ながらこの故事が頭に浮かんだ。民主党に敗れて下野した自民党の代表を、3年間務めてきた。いよいよ勝負という段階になって、出身派閥の長から「総裁には若い人を推したい」と三くだり半を突きつけられた。12年前の加藤の乱での一シーンである。「加藤先生、大将なんだから。行っちゃ駄目だ」。谷垣さんは加藤氏の腕をとり、声を震わせ、涙を流して慰留した。党内から立候補者が大勢出ると、自民党の路線が分からなくなる。だから自分が身を引く。党の総大将のはずの谷垣さんは、不出馬の理由を淡々と語った。のみ込んだ思いはどのようなものであったろうか。
(JN)党としては選挙に勝てる党首をおきたいというのか。ここは民主主義であろうから、党首選で決めればよいであろうに、党の長老等のご意見が通る、見えない支配がまだあるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45995530R10C12A9MM8000/