多様な人材を大使に起用するといったが

  • (日経/春秋 2012/8/23付)「体幹を鍛えたことが好成績につながった」といった解説にはどんな競技でもお目にかかる。ならば、と思って調べると「国幹」という言葉が見つかった。国の姿や価値観の軸になるプリンシプル(原理)となろう。そのプリンシプルが揺らいでいないか、と気になったのが米国、中国、韓国に秋に赴任する大使の人事である。外務省の役人は、外交の特殊技術は外務省育ちの人間以外には持ち合わせが無いと思い込んでいる――。吉田茂のブレーンだった白洲次郎は、半世紀以上も前に悪態をついた。米中韓3カ国、3人は次官級の職業外交官、うち1人は次官その人という新大使の陣容に、白洲の言葉が生々しい。不祥事にまみれた外務省に改革案が出たのは10年前だ。次官から大使への転出は認めない。多様な人材を大使に起用する……。民主党政権は「脱官僚依存」も訴えた。そうしたプリンシプルがあるともないとも分からないまま、なし崩しになっていく。国幹の弱い国は体幹の貧弱な運動選手と変わらない。
  • (JN)民主党も野田内閣になり、官僚の使い方の方向性を修正しているのであろうか。国幹とは何か。そのあり方が何にあるかによって、適切な修正と捉えられるし、またすぐぶれるとも言われる。60年近く一党独裁であったと言えるような、この日本はそう簡単に変えられない現実と、民主党のそれなりの成果も認めたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45298470T20C12A8MM8000/