これが民主主義の素晴らしいところだ

  • (日経/春秋 2012/8/24付)映画「十二人の怒れる男」の陪審員たち、はじめは被告の少年を有罪と決めつけていた彼らが、評議のなかでじわじわと考えを変えていく。ヘンリー・フォンダふんする陪審員が繰り返し無罪を唱え、白熱の議論を繰り広げる描写に感心した人は多かろう。さて、そんな作品を思い出したのは、エネルギー政策をめぐる「討論型世論調査」、2030年時点での「原発ゼロ」支持が討論を通じて、33%から47%に増えたという。それなりの時間を費やして市民が真剣に討議した結果がこうだったという事実を直視する必要もあろう。いまや裁判員裁判で、冷静に罪と罰を論じ合うようになった日本人なのだ。討論に参加した市民は285人。社会の意思を浮かび上がらせる手法としてもっと積み重ねてもいい。「十二人の――」のなかで陪審員が言う。「これが民主主義の素晴らしいところだ」。もっとも、国民の声と実際の政策との兼ね合いは民主主義の難しいところでもある。
  • (JN)お上頼みの日本人は自分たちで自分たちを守ることを怠ってきた。自民党政権の温床で民主主義が育つ必要がなかった。しかし、今は違う、国民は自らの力を発展させ、公民として活動していかねばならない。それはまた、自分たちの小さな環境だけを守ること考えるのではない公民としてである。怒れる男女になろう。「十二人の怒れる男たち」を見直してみよう。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45332630U2A820C1MM8000/