97歳の最重要戦犯

  • (日経/春秋 2012/7/21付) 人々は貨車に詰め込まれ、アウシュビッツに送られた。(「夜と霧」)。ナチスの親衛隊将校が右を指せばガス室へ、左を指せば強制労働へ。そんな貨車に人々を乗せる役割を果たしたとされる97歳の最重要戦犯が先日、ハンガリーの首都ブダペストで拘束された。スロバキア東部の町で警察幹部だった1944年春、ユダヤ人1万5700人をアウシュビッツに送るのに協力したというのが、この男の容疑だ。ついに悪運は尽きたというべきか、長い長い潜伏生活は終わった。「夜と霧」とは、ヒトラーが出した特別命令の呼び名だ。夜陰に紛れて市民を捕縛し、霧のかなたへとその存在を消し去る――。少なくとも600万人以上が犠牲になったといわれるホロコーストはこの名のもとに遂行された。人類の犯した極限の罪に関わった者への追及は、現代史の霧を晴らすあくなき営為でもあろう。

=>(JN)水に流すことのない欧米、まだ続くのであろう。2度と行われてはならないことであるが、未だに人間のこの恐ろしい行為はなくならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43978480R20C12A7MM8000/