野球によつて、数字による明快で能率的な認識の方法を刷り込まれた

  • (日経/春秋 2012/7/10付)プロ野球が日本にもたらしたものは何か。とりわけ大事なのが「数量化する態度」だと丸谷才一さんは書いた。打率、防御率、ゲーム差……。「われわれは野球によつて、数字による明快で能率的な認識の方法を刷り込まれた」と著書にある。「現代日本人は西洋近代の合理主義の実務を、プロ野球を経由して学び取つたことになる」と言われると、野球嫌いは反発するだろう。数字によって選手の優劣がたやすく分かった気になる。関西電力大飯原発の3号機がフル稼働して、政府は各地の節電の数値目標をきょうから緩めるそうだ。関電管内は「15%以上」が「10%以上」になるという。酷暑期、電力の需給が緩和するのは確かにありがたい。それでもなお妙な感じが残るのはなぜか。「エースのケガが治ったので、打者はもう3割も要らない。2割5分打てば十分」。監督にそう指示された気がふとするからである。

=>(JN)我々人間には、単に数値だけでは解釈できないことがある。しかし、価値判断が例えば金銭で表すのであれば、経費負担はどちらが良いのか。それは、短期的にそして長期的にどうであるのか。そこには故障や事故を同数値化して、判断すべき数値をはじき出すかである。それが国は、明確にしているのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43564620Q2A710C1MM8000/