- (朝日/天声人語 6月25日付)対テロ戦争の最前線となったアフガニスタンの子どもたち最も怖いことは何ですか? 「爆撃と爆発の音」や「銃を持つ男」を抜いて、「幽霊」というのが一番多かった。それを知った東京のNPOが、子らに「幽霊」の絵を描いてもらった話を、かつて小欄に書いた。黒こげ、血まみれ、飛び出す骨や内臓……。幼い色づかいで表された酸鼻は見るに切なかった。戦火は五感を通して子どもの柔らかい心をえぐる。そして今、シリアが砲煙の下で血に染まっている。相次ぐ虐殺への関与が言われるのは、政府側から武器を与えられた民兵組織だという。一派は「シャビーハ」と呼ばれ、「幽霊」とも訳されるそうだ。国連の報告によれば、3月に北部を攻撃した。その際、兵士を乗せたバスの窓に少年少女らを置いて「人間の盾」にしたという。国連安保理は役をなさない。ロシアは武器を売り、中国は独裁政権の肩を持ち、思惑と打算で目をつぶる。どうしたら無辜(むこ)の命を守れるのだろう。はざまで幼い未来が奪われる悲劇は、同じ地球上の現実として、悪夢にすぎる。
=>(JN)これは私たちの理性による考えである。これは人類共通のものと考えたいが、無理なのであろうか。人間の盾、況してや子供を盾に。彼らにはそれが悪ではない。さらに彼らを支援するものにも悪ではないのであろう。真理や理性などは現実にはない。それが真理か。
http://www.asahi.com/paper/column20120625.html