きょうは林檎忌、美空ひばりさんの命日

  • (日経/春秋 2012/6/24付)作家などの命日を、6月19日の太宰治の桜桃忌。芥川龍之介は河童(かっぱ)忌(7月24日)、正岡子規糸瓜(へちま)忌(9月19日)。近年では司馬遼太郎の菜の花忌(2月12日)が知られるようになった。きょうは林檎(りんご)忌である。美空ひばりさんの命日を、ヒット曲「リンゴ追分」にちなんでこう呼ぶそうだ。亡くなったのは23年前の昭和が終わった年。バブル最盛期の、なにやら騒々しいころだった。昭和という時代を体現した――とはよくある言い方だが、この人には、やはりそんな形容が似合う。ローティーン離れした歌声を焼け跡に響かせた少女は、やがて戦後の感性を身にまとう歌い手となった。昭和は遠く過ぎたのに、ひばり節が少しも古びないのはそれゆえだろうか。きょうの命日は別名「麦の日」とも称される。麦畑の上の高い空に、われらを見守るひばりがいる。

=>(JN)我が人生の時間で昭和の比率がまだ半分以上あるが、記憶は消えつつある。そんな中、ひばりさんの歌声はこれからも脳裏に残り続けるであろう。この記憶を超える者がこれから出るのであろうか。また焼け跡を作った歴史と終わらない戦後の歴史を忘れてはならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42952430U2A620C1MM8000/