■経済財政白書 日本経済は「試練の時」 サブプラ、原油高…(産経)
大田弘子経済財政担当相は、22日の閣議に平成20年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題や原油高騰が日本経済に与えた影響を分析、海外からの「外的ショック」への対応力を日本経済の課題とした。足元の経済状況については「試練の時を迎えている」としたものの、不況と物価上昇が同時に進行するスタグフレーションについては「陥る可能性は低い」と指摘した。
サブプライムローン問題では日本の金融機関などが受けた実害は欧米よりも軽微だったものの、株価の下落幅が大きかった。その背景について「日本の市場に厚みがなく、多様性が足りない」点を挙げた。1500兆円の家計資産が株式や投資信託といったリスク資産に流れ込んでいない実態があるとし、家計にリスク資産の運用拡大を求めた。
景気情勢では、原油・原材料価格の高騰やサブプライムローン問題を背景に20年初めから「足踏み状態になった」とした。ただ、当面は経済成長が見込まれているほか、第1次石油危機の時のような2年間で40%以上も物価が上昇するようなケースは考えにくいことから、「スタグフレーションに陥る可能性は低い」との見方を示した。
しかし、石油危機の時には物価上昇を超える賃金上昇が家計の負担を減らしたが、今回は賃金が抑制されている。このため、一部では2けたの物価上昇がなくとも、実際の家計負担は大きく、景気実感はスタグフレーション時以上の冷え込みを予想する声もある。
一方、長期的なリスクとして、高齢化・人口減少に伴う経済構造の変化を取り上げた。税制のあり方についても言及し、少子高齢化の進展を受け、消費税の重要性が高まるとの見方を示した。
■私大教員の2人に1人が「学生基礎学力ない」 私大情報教育協調べ(日経)
私立大教員の2人に1人が「学生に基礎学力がない」と悩み、「学習意欲がない」と感じている教員も4割近い――。社団法人、私立大学情報教育協会(東京・千代田)が実施したアンケートで、こんな実態が明らかになった。同協会は「大学生の学力不足は深刻」と危機感を募らせている。
調査は2007年12月―08年3月の間、協会加盟の343大学の助教以上の教員約6万6000人を対象に実施。334校の約2万1800人から回答を得た。(
■大分教員採用汚職 地元新聞社に怒りの声 部長依頼で(毎日)
大分県の教員採用汚職事件に絡み、大分合同新聞社(本社・大分市)の松尾勝則事業部長(52)=22日付で事業局参事に降格=が大分市教委部長を通じて娘の合格依頼をした問題で、同社の会見から一夜明けた23日、受験者らから改めて怒りの声が上がった。同社には同日朝までに苦情などの電話が約30件寄せられるなど対応に追われた。
大分合同新聞社は23日付の朝刊1面トップで「弊社社員の口利き関与 心からおわび」などの見出しで、社内調査の結果を報じ、事業部長らの処分の内容を公表した。
同新聞社では社員3人が専従で電話などの対応にあたっており「朝からひっきりなしにかかってくる」(総務部幹部)という。
事業部長は22日付で部長職から外される処分を受けたが、市民から寄せられた苦情の中には「処分が甘い」「大分合同新聞は(事業部長を)実名で掲載すべきだ」などといった意見もあったという。電話のほかにメールでも約60通の苦情や意見などがあったという。
連日、教員採用汚職事件の取材にかかわってきた同社記者は「取材もやりづらくなり、今はどうしていいか分からない」ととまどい気味に話した。
今月19、20日にあった大分県の小学校教員採用試験を受けた県内に住む30代の男性団体職員は「たまたま大分合同新聞で発覚しただけで、他の地元有力企業でも口利きがあるのではないかと疑ってしまう。コネがないと合格できないのではないかという思いがさらに強まった」と話した。
一方、県北部の小学校に勤める40代男性教諭は「報道機関の人というので失望した。会合で顔を合わせた程度の仲で話題に出ること自体、口利きが当然のようにどこでも行われていたかが分かる。もう驚きもなくなった」と冷ややかに話した。
大分市内の男性会社員(57)は「不正をただしていくべき報道機関なのに、不用意な話だ。うみを出してほしい」と批判。同市内の女性会社員(27)は「社会的に地位の高い人たちが、そういうことをしているのが怖い。もっと出てきそう」と不正の連鎖に不安げな様子だ。
教員採用汚職で揺れる県教委の幹部も23日朝、「びっくりしたな。ちょっと信じられん」と驚いた表情で話した。