岩手北部で地震

■7道県けが107人、岩手北部、震度6強、震源深く。(朝日)
■<岩手地震>断層、最大で1.5メートルずれる(毎日)
 岩手県で起きた地震では、長さ約30キロ、幅約10キロの断層面が、南北方向に最大で約1.5メートルずれていたことが24日、筑波大学の八木勇治・准教授(地震学)の解析から分かった。八木准教授によると、動いた断層面の大きさは先月の岩手・宮城内陸地震とほぼ同じだという。
 八木准教授は、世界約50カ所で観測された今回の地震地震波から、断層の動きを計算した。その結果、断層面の破壊は、太平洋プレートの内部で、約10秒間続いていたことが分かった。
■ 最大震度6強、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・2。24日未明に発生した岩手県沿岸北部の地震は、広範囲で強い揺れが観測されたが、全半壊などの家屋の大きな被害は確認されなかった。(産経)
 筑波大の八木勇治准教授の解析によると、地震エネルギーを示すモーメントマグニチュード(Mw)は阪神大震災(平成7年)と同じ6・9。阪神では6400人以上の犠牲者の約8割は倒壊した家屋や家具の下敷きになった。この違いは、地震波の特性によるものだという。
 東大総合防災研究情報センターの古村孝志教授によると、一般に周期の短い地震波は小さな構造物を激しく揺らし、周期が長い地震波は大きな構造物をゆっくりと揺さぶる。阪神大震災では、木造家屋などの被害に強く影響する周期1〜2秒の地震波(キラーパルス)が強かった。
 今回は、周期が0・1〜0・2秒の短周期地震動が強く、キラーパルスがほとんど含まれていないことが、古村教授らの解析で分かった。プレート(岩板)の内部で起きる地震は、短周期の地震波が強く出るという。メカニズムは異なるが、6月14日の岩手・宮城内陸地震も、キラーパルスは弱かった。
 一方、岩手県洋野町青森県八戸市の人たちは、被害が軽微だった背景に、耐震性の高い住宅が多かったことや、防災意識の高さがあるという。
 「古い家は自分たちで山の木を切り出して建てたものが多い。都市部で建てる普通の家の3〜4倍の太さの柱やはりを使っている」と、洋野町種市の測量設計事務所社長、酒井義隆社長(51)。別の建築士は「古い大工は柱と土台、金属の留め具を使わずに柱と梁(はり)を組む。異物を使わない分、揺れを吸収しやすいのではないか」と分析した。
 八戸市の無職女性(70)は「戸棚は引き戸のものを選び、茶碗(ちゃわん)などが飛び出さないようにしている。ここは地震が多いから、古い人はみんな防災意識が高い」と話した。
 同市周辺は平成6年12月の「三陸はるか沖地震」をはじめ、多くの震災を経験してきた。青森県が昨年度から行っている耐震診断員の派遣事業で、八戸は真っ先に参加を訴えた自治体のひとつ。同市建築指導課の大原満課長は「住民も市も震災対策に対する意識は高い」と語った。