経済大国の貧困 240130

 最新の政府の調査に『余録(240129)』は思う▲今から50年前の1974年石油危機に、戦後初のマイナス成長に。これを機にゼロ成長への転換を促したエコノミストがいた。池田内閣の所得倍増論を立案した下村治だ▲だが政府は成長優先を変えず、バブルとその崩壊。アベノミクスは巨額の借金を残した▲最新の政府の調査で「生活に満足」と答えた国民は半分止まりで、半世紀前とほぼ変わらない▲岸田文雄首相は年頭の記者会見で「今年は所得増と成長の好循環に移行するチャンス」と▲下村は成長に固執しなければ「設備投資に使われた資源が生活の充実や福祉の向上に解放される」と語った。能登半島地震で政府の支援が届かず、寒さに震えた被災者の姿から見えたのは、経済大国の貧困である。
 (日本は)経済大国である必要があるのか▲昭和の老人たちは、未だに憧れのアメリカを思い、古びた経済理論にしがみついているのか。国を富ますことを目的とせず、国民の生活を富ますことを目的に考え直すべき▲このままでは、私たちは大量商品の海の中で溺れて行くだけである。過去の繁栄は歴史とともに終わった。新しい歴史をつくろう。