月や火星に行きたい。片道切符でもいい 240116

 昨年亡くなった松本零士さんを『あぶくま抄(240116福島民報)』は思う▼ドイツ・ミュンヘン博物館で室内照明が消え、宇宙が現れた。1世紀前、近代的な光学式プラネタリウムが初めて披露▼これは世界に広がり、福島県内で初めて常設されたのは1959年▼現在、県内で最大規模を誇るのが郡山市ふれあい科学館にある設備。名誉館長を20年務めた松本零士さんは、来館した子どもたちに語りかけた。「映像を見て銀河への夢を育んで。持ち続ければ必ずかなう」。またある時、職員に打ち明けた。「月や火星に行きたい。片道切符でもいい」▼巨匠は85年の生涯をかけて何を追い求めたのか。ライフワーク「戦場まんがシリーズ」に。それは命の尊さ―。人類は滅亡への片道切符を手にしてはならぬ。
 (私は)半世紀以上前に、渋谷のプラネタリウムにつれいったもらい、星座ファンになった。そこからギリシャ神話も読むようになった▼プラネタリウムは、こどもの刺激なるだろうし、高齢者だって、与えられるものがあろう。こんな広大な宇宙を臨んでいると、自分たちは何て小さく、狭いところで殺し合いをしているのかと感じる。