国民が明るい未来を信じていた時代 231009

 大阪万博の経費拡大に『談話室(231009山形新聞)』は思う▼半世紀前の大阪万博は米アポロ計画で採取された「月の石」や旧ソ連人工衛星、異形の「太陽の塔」などが人気を呼んだ。高度経済成長期で国民が明るい未来を信じていた時代。約6400万人もの来場者の中には、一生の記念にと地方から出向いた人も多かっただろう▼2025年大阪・関西万博は海外パビリオンの建設が遅れているほか、資材価格の高騰などで会場建設費の上振れが避けられないという。警備費200億円が新たに加わり国民負担が膨らむとも伝わる。地方を巻き込む熱狂の再現がなるかどうか。今はまだ予兆を感じない。
 (私は)春休みと夏休みに数日間、万博会場へ行った。ヒトヒトヒト、未来を夢見て、老若男女が集った。残念ながら、アメリカ館はその混みようにギブアップ。「月の石」は諦めた▼「1970年にこんにちは」、箱もの行け行けであった。未来が本当に信じられれば、消費も投資も積極的になる。今信じられるのは物価高と円安だ。そんな時に、税金がどうつかわれるのか。なにを信じればよいか。