なぜ村上さんは 231006

 「街とその不確かな壁」に登場したこの会津のまちを『編集日記(231006福島民友)』は思う▼一体どこなのか、県内で議論が。「喜多方っぽいような」「南会津しかない」「あれは坂下の雰囲気」▼先日、衝撃的な事実が。4日付の本紙に掲載された村上春樹さんのインタビューで、会津のまちは、想像で書かれたことが語られた。自身は会津を訪れたことがないとも▼本の中のまちを生んだ村上さんの「会津のイメージ」のかけらを読者が拾い、それぞれの会津のまちを思い浮かべたのだろう▼謎が一つ解明されたと思ったら、新たな疑問。なぜ村上さんは未知の会津を舞台に選んだのか。今度はこの謎について、あれこれ考えて楽しみたい。
 (私は)只見線のどこかと思っていた。勝手な想像を楽しんだ▼ゆっくりと、これらの街を楽しんだ。村上ワールドにできるだけ長く毎日、街を歩み続けた。心の中で、街、川、図書館、人、壁、夢、死、季節、目、影、林檎、耳、ノート・・・・・が落ち着かず流れて行く▼彼は、どこの街の図書館に勤めたのか。なぜ、そこでなければならなかったか。