遠ざかる戦争の記憶 230802

 <八月や六日九日十五日>。戦後78年になる今年も、この時季が巡ってきたと『明窓(230802山陰中央新報)』▼ただ昭和が遠くなり、この俳句の日付と句意がピンとこない世代も増えているようだ▼それもそのはず。戦争の記憶がある人は、もう10%程度しかいなくなった。時の流れとともに消滅していく記憶を補うには、歴史から学ぶしかない▼詩人・石垣りんさん(1920~2004年)の詩の中に、こんな一節がある。<戦争の記憶が遠ざかるとき、戦争がまた私たちに近づく。そうでなければ良い。>。戦争を経験した世代からの申し送りのように聞こえる。
 (私も)戦後生まれ。父や伯父たちに戦争について尋ねても、彼らは、戦争の悲惨な話を語ろうとはしなかった。話したくなかったのであろうか。銃後の人々も多くは語らなかった▼それだけ戦争というものは、辛いものであろう。その戦争を始める政治家は無能でしかないだろう。6日、9日、そして15日の意味を歴史から学ぼう。
*画像は23年8月2日の山陰中央新報「明窓」より。