『#秋分の日』<2022年9月23日(金)>
お彼岸に『明窓(220920山陰中央新報)』は思う▼墓参りをする習わしがある。「国民の祝日に関する法律」には、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」とする▼この心情につけ込むのが今、取り沙汰されている霊感商法だ。悪徳商法の一種。利用するのはご先祖さまだけではない。手口も手を染める団体もさまざまだ▼大型店の一角に出店する無料の姓名判断を興味本位で受けたことがある。「名前の字画がよくない」と言いながら、店の男が机の下から出してきたのが高価な開運印鑑。ほぼ同時に席を立った。30年くらい前の話▼彼岸という言葉は仏教で向こう側、つまり「悟りの境地」を指す。それに対する言葉は此岸といい、こちら側、「この世」のこと。こちら側は、いつまでたっても問題が絶えない悩み多き世▼多くの人の悲願といえば新型コロナウイルス禍の収束とウクライナ戦争の終結だろう。彼岸の中日には先祖をしのぶとともに、祈りたい。
(私たちの)この世は誘惑に満ちている。迷いに迷い、自分の都合の良いものに傾倒していく▼新型コロナウイルス対応でも、その信じるものによって、対応が異なり、それが拡散し、弱い人たちの命は失っていく。ウクライナ侵攻は独裁者の悲願のために人々の命が奪われている▼私たちはいったい何を信じれば良いのか。彼岸花に祈るしかないのか。
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