『美談は泣きながら疑うことを誓う』

『美談は泣きながら疑うことを誓う』<2018年11月20日(火)>
 「どうした、えっ、おとっつあんが病気なのにお金がなくて故郷に帰ることができないんだって…」『筆洗』(181120)は日本の「泣き売」を紹介し、そして米国での話を出す。「車のガソリン切れで立ち往生した女性。現金がなくて困っているとホームレスの男性がなけなしの二十ドルをはたき、ガソリンを買ってくれた。感激した女性がネットで話を広め、男性への寄付を呼びかけると短期間に約四千万円集まった…」。これが手の込んだ現代版「泣き売」あった。そして、谷川俊太郎さんの詩の一節「美談は泣きながら疑うことを誓う」。
 (JN) 人間は余っ程の合理主義者でない限り、論理より人情に動かされてしまう。また、見栄っ張りである。かわいそうな話を聞くと何とかしてやりたくなる。そういうもんでしょう。そこに付け込む怪しからん輩がいて、それに引っかかってしまう。おバカであるが、やってしまうのである。許せない話であるが、人間であるから引っかかるのであろう。サギだけでなく、私たちの行動は、論理よりも感情に訴えられて動いてしまう。打算的に考えたつもりが、感情的である。良い話には裏がある。美しい話や儲け話はサギと思わねばならない悲しい社会である。心を動かされても、命と財布は動かさないようにしよう。