『大自然を活写した芸術が、人間の業をねじ伏せた』

<2017年1月10日(火)>
大自然を活写した芸術が、人間の業をねじ伏せた』
 水墨画「松林図屏風」の屏風は東京国立博物館で特別公開されている。「春秋」(170110)は、この屏風の披露がなされた伏見城の場面を安部龍太郎の小説「等伯」から伝える。「『わしは今まで、何をしてきたのであろうな』と秀吉。『心ならずも多くの者を死なせてしまいました』と家康。白と黒のひたすら深遠な世界である」。そして、「物語に触発され、リメーク版を考えた。今、シリアやイラクで血みどろの勢力争いを繰り広げている将兵たちが感動で立ち尽くす芸術は生まれないものか。『自分は何をしてきたのだろう』。そんな境地にいざなえれば、苛烈な戦闘や陰惨なテロも少しは静まるかもしれぬ。空想が入り込みそうもない複雑な状況であるが。
 (JN) お互いの様々な正義によってなされる戦闘やテロを止めさせる方法はないものか。それは、理路整然とした手法では難しいであろう。人の心を動かすのは感情である。その感情がどんなものであろうか、それが「春秋」で述べられている「白と黒のひたすら深遠な世界」であるのか。瞬間的にはそれが可能であろうが、長く人を平和においておくことは本当にできるのであろうか。大将には深遠な世界を感じる余裕があろうが、一兵卒にはそんな心のゆとりはなかろう。素晴らしい芸術の作も人殺しの道具も、同じ価値体系の内に売買され、他人の心を動かしている。資本が人間の業をねじ伏せている。

<2017年1月10日(火)>
大自然を活写した芸術が、人間の業をねじ伏せた』
 水墨画「松林図屏風」の屏風は東京国立博物館で特別公開されている。「春秋」(170110)は、この屏風の披露がなされた伏見城の場面を安部龍太郎の小説「等伯」から伝える。「『わしは今まで、何をしてきたのであろうな』と秀吉。『心ならずも多くの者を死なせてしまいました』と家康。白と黒のひたすら深遠な世界である」。そして、「物語に触発され、リメーク版を考えた。今、シリアやイラクで血みどろの勢力争いを繰り広げている将兵たちが感動で立ち尽くす芸術は生まれないものか。『自分は何をしてきたのだろう』。そんな境地にいざなえれば、苛烈な戦闘や陰惨なテロも少しは静まるかもしれぬ。空想が入り込みそうもない複雑な状況であるが。
 (JN) お互いの様々な正義によってなされる戦闘やテロを止めさせる方法はないものか。それは、理路整然とした手法では難しいであろう。人の心を動かすのは感情である。その感情がどんなものであろうか、それが「春秋」で述べられている「白と黒のひたすら深遠な世界」であるのか。瞬間的にはそれが可能であろうが、長く人を平和においておくことは本当にできるのであろうか。大将には深遠な世界を感じる余裕があろうが、一兵卒にはそんな心のゆとりはなかろう。素晴らしい芸術の作も人殺しの道具も、同じ価値体系の内に売買され、他人の心を動かしている。資本が人間の業をねじ伏せている。