『トコロジスト』

<2016年9月25日(日)>
『トコロジスト』

 「身近な生きものにふれようという提案は古くて新しい」と、「天声人語」(160925)は語る。「公園や森など身のまわりの自然をじっくり観察する『その場所の専門家』というトコロジスト、見過ごしてきたけれど当たり前のもの。それを面白がってもらえれば。幼児の歩みにあわせると、やぶの物音で野鳥を見つける。アリの行列に目が行く。ジョギング、大人の足、子供の足――。当方も近所の公園をゆっくり歩いてみた。名を知らぬ小さな花がある。聞き分けられぬが虫の声がにぎやかだ」と。

 自分は、今住んでいるところをどれだけ知っているのか。そこには、どんなところがあり、どのような生き物が生息しているのか。毎日何だか忙しそうににしていて、周りを見るゆとりがない。毎日、自宅と職場の最短距離を行ったり来たり。偶には、道草をするがそれはいい香りのするところである。ちょっといつもと異なるところに行けば、キョロョキョロもするが、普段はルーチンの繰り返しだ。勤務地に通うサラリーマンとしては、もう少しゆとりを以て、怪しまれない程度にキョロキョロして、自然や人を観察したい。それはトコロジストではなく、キョロジストであろうか。(JN)