『私ども日本人が決して忘れてはならない』

『私ども日本人が決して忘れてはならない』
 「『役に立たねえ兵隊を、飼っとく余裕はねえ』。そう言われた大岡昇平さんは、彼自身フィリピンの戦場で手榴弾で自ら死のうとした」(『野火』)。この第二次大戦について、「筆洗」(東京新聞/2016/1/30)は記す。「大戦中にフィリピンで戦没した日本人は、五十一万八千人。戦闘に巻き込まれるなどして死んだとされるフィリピン人は、百十一万人、その膨大な数字の一つ一つに、語られぬ物語があるのだ。同国を訪問した天皇陛下のフィリピンでの言葉、戦闘に巻き込まれた現地の人の犠牲に触れ、「私ども日本人が決して忘れてはならないこと」と語られた。「決して」という三文字の、何と重いことだろうか。」
 「役に立たねえ兵隊を、飼っとく余裕はねえ」とは、戦前であれば天皇陛下からいただいた尊い命を粗末にするという行為、これは矛盾した行動をとったものである。仲間を大事にできない組織は、崩壊するしかない。第二次世界大戦がそうであった。何のための戦争であったのか。戦争は何のためにあるのか。根拠のない利を得ようと起こす戦争は、結局誰が利を得たのであろうか。ゲームの駒にされている方はかなわない。この途方もない行為は、忘れ去ってはならない。今後も、未来へ戦争の悲惨さを様々な方法で伝えて行かねばならない。(JN)