『何となく、/今年はよい事あるごとし。/元日の朝、晴れて風無し』

『何となく、/今年はよい事あるごとし。/元日の朝、晴れて風無し』
 「借金と病気に苦しんだ啄木だが、それだけに新しい年への思いも強かったのだろう。ほかにも正月の歌はいくつかある」と、「春秋」(日経/2016/1/1)は、歌を紹介する。「年明けてゆるめる心!/うつとりと/来し方をすべて忘れしごとし」。「啄木が新年にこうも希望を寄せたのは、明治末という時代ゆえでもあろう。次の時代が見えない。自我に目覚めた青年に出口がない……。啄木の言う『時代閉塞』である。世の閉塞感は昨今もなかなか強いから、正月くらいは啄木にならって『今年はよい事あるごとし』と希望を持つとしよう。『見よ、今日も、かの蒼空(あをぞら)に/飛行機の高く飛べるを。』」
 今日もいつも通り家族で一番に目を覚ました。まだ日の出ないかった。喪中であるため、何末年始は静かに過ごす。今年への思いは、平凡であるが「皆が健康で平和に暮らせる世になること」である。これは平凡な思いであるが、これが小さな世界から地球規模まで、永遠の課題である。今幸せである者が今を守ろうと、その幸せを守るために他者を抑圧する。抑圧されている者はそれに抵抗する。その間の私たちは、どんな立場にあろうと翻弄される。噫無情と、昨日見た「 Les Miserables」にまだ影響されているようだ。これからも、悪いこともあれば、良いこともある。「正直な人間になるために、この銀器を使いなさい」。新年に期待しよう。(JN)