『祖国の政治に追われた人々を国際政治の駆け引きが翻弄する』

『祖国の政治に追われた人々を国際政治の駆け引きが翻弄する』
 難民に悲鳴を上げる欧州、日経「春秋」(2015/9/22付)は、その対応を「これでいいのだ」と言えないと述べる。
 「『これでいいのだ』、赤塚不二夫さんの代表作『天才バカボン』の主人公パパが言い放つ。むちゃくちゃな振る舞いも理不尽な仕打ちも帳消しにする。万能の言葉に自身の生き方を投影したのか。波瀾万丈の自伝の書名にも選んでいる。満州に生まれ、敗戦の混乱に巻き込まれ、母子5人命からがら引き揚げた。よそ者扱いで内地にも溶け込めない。それでも前を向いて生きた。70年前、外地で『難民』となった日本人660万人の多くが抱いた思いかもしれない。今、難民や移民が50万人以上、欧州に押し寄せている。その姿はかつての外地からの引き揚げを思わせる。欧州の協調よりも自国優先なのだろう。祖国の政治に追われた人々を国際政治の駆け引きが翻弄する。風雨に震えるのは生身の人間である。『これでいいのだ』とはまだ言えない。」
 他人事ゆえ言えるのであるが、シリア等の難民を拒絶するな。この原因は我々にある。欧米の先進国を中心とした国々の欲望がここの難民者をも生んでいる。そういった理由を別にしても、宗教や思想等が異なっていても、弱き者に手を差しのべるのが、先進国の役目である。とは言うものの50万人以上の人が押し寄せてくるということは、八王子市の人口が動いてくるということは、豪いことである。「これでいいのだ」というような対策を考え出せるでもないが、昭和20年代前半、660万人の引上げ者を抱えた日本は、敗戦のどん底から這い上がった。同じことはできないであろうが、資本主義の活力は人口である。賃金体系に大きな影響を与えるであろうが、これが欧州再生のチャンスかもしれない。(JN)