今も流通しているシリアの旧500ポンド紙幣は…

今も流通しているシリアの旧500ポンド紙幣は…
 毎日新聞の「余録」(2015年05月26日)によると、「今も流通しているシリアの旧500ポンド紙幣は女性の横顔が描かれている。3世紀にパルミラ王国を率い「東方の女王」と呼ばれたゼノビアである。「ローマ帝国衰亡史」で英歴史家ギボンは、そのクレオパトラに匹敵する美貌、歴史書や修辞学の書を著す学識、そして馬上で軍を率いる勇猛を列挙している。だがゼノビアがローマに対抗する姿勢をみせると、皇帝自らが率いるローマ軍の侵攻を受けて捕らわれた。このシルクロードの隊商都市・パルミラはローマ軍に破壊され、二度とかつての繁栄を取り戻すことはなかった。その残映たる世界遺産パルミラ遺跡である。そして、パルミラをISが制圧、遺跡の城壁にその黒い旗が掲げられている映像がネット公開された。パルミラでは女性や子供、高齢者を含む400人がISに殺害されたとのシリア国営の通信社報道もある。憎悪と恐怖で人々の分断を図るISの暴力は、人類が地上で重ねてきた多彩な営みの記憶を守る努力にも向けられる。異なる文化を生きる人々が互いの記憶を尊重する世界こそが彼らの悪夢なのだろう。」
 ISは、このまま蛮行を続け、勢力拡大をどこまで続けるのか。彼らのバックには、どのような資本が隠れているのであろうか。ISにとって一番大切なものは何であるのか。多分、人の命が一番ではなく、何かその原理を守ることが一番になってしまっているのであろう。原理は、目的ではなく、その方向への考え方であり、万全ではないはずなのに、なぜ人はこのような行動をとるのであろうか。考えるより、それに従う方が楽なのであろうか。それでは、生ける屍ではないか。彼らが信じている教祖はそんなことを望んでいたのであろうか。この暴走をくい止めるのは、容易ではない。口先ではどうにもならないであろう。と言って、暴力には暴力しかないのであろうか。パルミラノ遺跡を悩むより、私たちが生きて行く上でのお互いの存在を認め合う、その方法を見つけたい。ゼノビアであれば、どうしたであろうか。