『エルネスト、「こんなひどい目に遭わされて、どうして・・・』

『エルネスト、「こんなひどい目に遭わされて、どうして怒らないんだ」』〈2017年10月12日(木)〉
 チェ・ゲバラは1959年夏に広島にやってきた。『天声人語』(171012)は映画「エルネスト」の場面より、言葉を引き出す。「こんなひどい目に遭わされて、どうして怒らないんだ」。そして、続ける。「米国の支援を受けたキューバ政府軍と戦った闘士にすれば、米国に従うばかりの日本政府が歯がゆかったのだろう。ゲバラが39歳で没して今月で50年。『父を失って暮らしは楽じゃなかった。生活のためベネズエラで働いた時期もあります』とカミーロさん(ゲバラの長男)。もしゲバラが50代まで生きていたら、眉間(みけん)にこんな憂愁をたたえただろうかと表情に見入った」。
 (JN) 暴力革命には反対だ。でも、エルネストの精神は若者たちに大きな影響を与えてきたのであろう。その力に私も魅了された。その飽くなき永続革命の追求の合間に、広島に来ていた。「こんなひどい目に遭わされて、どうして怒らないんだ」。彼でなくとも、広島で起きたことへの怒りを感じるはずだ。それだけ、また、戦争で受けた傷は日本人に大きかった。やがて、半世紀以上たちその当時の人々は世を去り、戦後生まれの時代になった。戦争で受けた心はもう無いようであるが、まだ日本は米国の核の傘の下である。そして、言うことだけは勇ましくなくなった。エルネストがこのありさまを見たら、何というのであろうか。