あれから40年。ドミノ理論の破綻は周知の通りだ

あれから40年。ドミノ理論の破綻は周知の通りだ
(日経「春秋」2015/5/1付) サイゴンの陥落は1975年4月30日のことだ。その2週間ほど前、カンボジアではポル・ポト派プノンペン入りし、4カ月後にはラオス人民革命党ビエンチャンに入城した。インドシナ3国がそろって社会主義の勢力下におさまった。「ドミノ理論」が現実になった。「次に共産化するのはタイだ」。ある商社では経営幹部がそんな判断を示しタイへの新規投資を一時とりやめた、と耳にしたことがある。あれから40年。ドミノ理論の破綻は周知の通りだ。ベトナム統一につながるサイゴン陥落は東南アジアが政治的な安定に向かう一里塚だった。そして政治の安定は、タイをはじめ市場経済の国々が経済的繁栄へと飛躍する足場となった。タイへの投資を手控えた商社がほぞをかんだ。いまやベトナムは、米国が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を模索する。一方で、中国との間では南シナ海の島々の領有をめぐって対立する。世界の潮流を読み取るのは、何と難しいことか。改めて痛感する。
(JN) 1975年のサイゴンの事実は、ショックであった。米国が戦争に負けて逃げて行くなんて、我が日本は、米国の破壊力の前に平伏したのに、ベトコンは米国を追い出した。原爆は使わなかったが、化学兵器の実験場となり、殺りくを繰り返したのに、この結末であった。彼らの正義の在り方に問題があった、国力の衰退か。それは、歴史家がどのように解釈していくか、お任せします。今生きる私たちは、日本でもベトナムでも、今は手を組んでいる。十年一昔、人間とは忘れることの出来る動物である。過去の歴史を積み重ねながらも、味方を多くして、現在そして未来を生きて行かねばならない。でも、過去の事実を消し去ってはならない。未来に悲劇を起こさないためにも、戦争の悲惨な事実を忘れてはならない。ドミノ倒しは様々な形で起きる可能性がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86342400R00C15A5MM8000/