種の存続を懸けた闘いは終わらない

(日経「春秋」2015/2/15付) ガラパゴスといえば進化論で知られた島々だがご存じの通り、最近では「国内で独自に進化し、国際市場で通用しない製品や技術」の意味でやや侮蔑的に使われることが多い。その代表例の携帯電話「ガラケー」の出荷台数が、7年ぶりに増加に転じたという。スマートフォンスマホ)の登場で絶滅も危惧されたが、携帯電話の契約数は両者ほぼ半々で、踏ん張っている。スマホは便利だが、全体がパネルでできた1枚の板状のものを耳に押しつけてでは、なんだか話がしにくい。そう思っていたら、形はガラケーのままスマホの機能を取り入れた「ガラホ」が登場した。独自の進化は続いているわけだ。本家の島でも、リクイグアナとウミイグアナの両方の特徴を持った雑種が誕生しているという。種の存続を懸けた闘いは終わらない。特定の種だけが繁栄するのではなく、多様性があった方が自然界は豊かで健全である。その点は市場も同じかもしれない。
(JN) 電話は便利である。突然、相手先の時間に割り込めるのである。しかも、電話が移動可能になってから、その人物が身に着けている限り、割り込める。更に、突然であり、知っている番号であれば、何事かと、電話に出てしまう。それほど、電話には割り込み能力がある。その電話の機能を第一に考える者には、なんだかわけのわからないものがいっぱいあるスマホなどいらない、「もしもし」の機能が十分に果たせて、安いに越したことはない。しかし、これからも、「ガラケー」が進化せずにそのままでいるのかはわからない。否、そういう呼び方が残るかもしれないが、進化して「スマホ」とは違う進化の位置を歩むか、その途中で絶滅するのかもしれない。さて、生き残っていく種はなんであろうか、それは機能ではなく、それを生産する側での力の問題であり、消費環境ではない。自然界とは違う。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO83202570V10C15A2MM8000/